業界展望 介護業界 2012年度改正介護保険法施行で新サービスが登場
増大する介護保険費用
日本は世界のなかでも高齢者人口の割合が年々高まっている高齢社会です。人口全体に占める75歳以上の人の割合は2005年の約9%から、2030年まで右肩上がりで上昇し、2030年には約23%程度までに達すると予測されています。このため、増大する高齢者福祉費の問題は21世紀の国家運営で最大の課題と言えるでしょう。
厚生労働省の試算によると、昨年の介護サービス市場は8.3兆円程度。介護サービスを受けた「要支援」や「要介護」の高齢者数は約440万人で、10年に比べて20万人程度増えています。
高齢者介護の仕事には高いニーズがありますが、最近の傾向は、介護施設の開設を抑え、自宅で最期まで暮らせるように在宅介護や高齢者向け住宅を充実させようという考え方が広まっていることです。これは介護保険費用の増加を抑えるためです。
これにあわせて介護サービスの各社は訪問看護ステーションの開設や地域の医療機関との連携など、医療サービスを強化する方針です。
介護保険制度の改正
2011年の介護保険制度の改正案が今年4月から施行され、在宅介護の新サービスが創設されました。新サービスは介護の必要度合いが高い高齢者でも自宅で暮らし続けられるように、24時間にわたってヘルパーや看護師が定期訪問と救急時の対応を実施します。
介護大手のニチイ学館、セントケア・ホールディング、ツクイの各社は従来の訪問介護やデイサービス拠点に加えて、訪問介護拠点を増やし、幅広いサービスを提供できるように体制を整えています。
日経新聞によると、ニチイ学館は2013年春までに訪問看護拠点を現在の3倍にするほか、訪問介護が主力のセントケア・ホールディングは4月、千葉県松戸市にリハビリに特化した新型の訪問看護ステーションの営業を始める。また、ツクイは14年春までに看護師を2千人と3割増やすということです。
この3社の利用者数は11年末時点で前年比7%増加。各社は医療サービスの拡充で利用者増を図り、13年月期も今期に続き増収増益を目指すといいます。
新サービスの登場
介護報酬は介護各社がサービスの対価として受け取る資金で、1割を利用者が負担し、残る9割は税金と介護保険料で賄っています。国は報酬の体系を3年に1回見直しており、今年4月の改定では従来型のサービスの報酬を大きく引き下げる一方で、看護と介護を組み合わせたサービスを新たに取り入れるなど、医療との連携を介護各社に促している点が特徴です。
これによって、従来型の介護サービスの代表例である通所介護(デイサービス)は最大で11.4%、訪問介護は同19.2%という大幅な減額改定となる一方で、介護各社にとって新規事業といえる訪問看護の報酬は11.1%引き上げられます。
さらに高齢者が自宅で24時間いつでも看護師やヘルパーを呼べるサービスや、高齢者の日々の健康状態などに応じて宿泊施設の利用や訪問介護などを柔軟に選べる「複合型サービス」など、これまでにない方式の事業に報酬を設定しました。
このため、介護各社は従来型のサービスだけを手掛けていたのでは、今後、報酬改定に伴う収入減が避けられなくなります。そこで、セントケア・ホールディングやツクイが理学療法士や看護師と連携するように、異業種と協力して新サービスを打ち出す動きは一段と広がりそうです。
介護大手企業の売上高ランキング (単位:億円)
1位 ニチイ学館 1343
2位 ベネッセスタイルケアとボンセジュール(ベネッセホールディングス)の合算 672
3位 メッセージとジャパンケアの合算 605
4位 ツクイ 493
5位 セントケア・ホールディング 251
(注)12年3月期の売上高(見込み)を基に算出。ニチイ学館は介護関連事業の売上高(日経新聞による)
詳しくはここから
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増大する介護保険費用
日本は世界のなかでも高齢者人口の割合が年々高まっている高齢社会です。人口全体に占める75歳以上の人の割合は2005年の約9%から、2030年まで右肩上がりで上昇し、2030年には約23%程度までに達すると予測されています。このため、増大する高齢者福祉費の問題は21世紀の国家運営で最大の課題と言えるでしょう。
厚生労働省の試算によると、昨年の介護サービス市場は8.3兆円程度。介護サービスを受けた「要支援」や「要介護」の高齢者数は約440万人で、10年に比べて20万人程度増えています。
高齢者介護の仕事には高いニーズがありますが、最近の傾向は、介護施設の開設を抑え、自宅で最期まで暮らせるように在宅介護や高齢者向け住宅を充実させようという考え方が広まっていることです。これは介護保険費用の増加を抑えるためです。
これにあわせて介護サービスの各社は訪問看護ステーションの開設や地域の医療機関との連携など、医療サービスを強化する方針です。
介護保険制度の改正
2011年の介護保険制度の改正案が今年4月から施行され、在宅介護の新サービスが創設されました。新サービスは介護の必要度合いが高い高齢者でも自宅で暮らし続けられるように、24時間にわたってヘルパーや看護師が定期訪問と救急時の対応を実施します。
介護大手のニチイ学館、セントケア・ホールディング、ツクイの各社は従来の訪問介護やデイサービス拠点に加えて、訪問介護拠点を増やし、幅広いサービスを提供できるように体制を整えています。
日経新聞によると、ニチイ学館は2013年春までに訪問看護拠点を現在の3倍にするほか、訪問介護が主力のセントケア・ホールディングは4月、千葉県松戸市にリハビリに特化した新型の訪問看護ステーションの営業を始める。また、ツクイは14年春までに看護師を2千人と3割増やすということです。
この3社の利用者数は11年末時点で前年比7%増加。各社は医療サービスの拡充で利用者増を図り、13年月期も今期に続き増収増益を目指すといいます。
新サービスの登場
介護報酬は介護各社がサービスの対価として受け取る資金で、1割を利用者が負担し、残る9割は税金と介護保険料で賄っています。国は報酬の体系を3年に1回見直しており、今年4月の改定では従来型のサービスの報酬を大きく引き下げる一方で、看護と介護を組み合わせたサービスを新たに取り入れるなど、医療との連携を介護各社に促している点が特徴です。
これによって、従来型の介護サービスの代表例である通所介護(デイサービス)は最大で11.4%、訪問介護は同19.2%という大幅な減額改定となる一方で、介護各社にとって新規事業といえる訪問看護の報酬は11.1%引き上げられます。
さらに高齢者が自宅で24時間いつでも看護師やヘルパーを呼べるサービスや、高齢者の日々の健康状態などに応じて宿泊施設の利用や訪問介護などを柔軟に選べる「複合型サービス」など、これまでにない方式の事業に報酬を設定しました。
このため、介護各社は従来型のサービスだけを手掛けていたのでは、今後、報酬改定に伴う収入減が避けられなくなります。そこで、セントケア・ホールディングやツクイが理学療法士や看護師と連携するように、異業種と協力して新サービスを打ち出す動きは一段と広がりそうです。
介護大手企業の売上高ランキング (単位:億円)
1位 ニチイ学館 1343
2位 ベネッセスタイルケアとボンセジュール(ベネッセホールディングス)の合算 672
3位 メッセージとジャパンケアの合算 605
4位 ツクイ 493
5位 セントケア・ホールディング 251
(注)12年3月期の売上高(見込み)を基に算出。ニチイ学館は介護関連事業の売上高(日経新聞による)
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