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猪瀬直樹ブログ、高齢者のケア付き住宅が、住宅か施設の二者択一ではない東京モデル。

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東京モデル、ケア付き賃貸住宅普及するといいですね。

猪瀬直樹Blog
高齢者のケア付き住宅がカギを握る。住宅か施設の二者択一ではない東京モデル。


 消費税増税とセットになって、「医療と介護を一体化して医療費を削減しなければ」などとテレビで政治家がいう。あたり前のことだが、東京都は僕がチームリーダーとなった「少子高齢時代にふさわしい『すまい』プロジェクトチーム」のなかで、医療と介護を一体化したすまいのモデルを示してきた。

 きっかけは2009年3月の群馬県で起きた「たまゆら」火災事故だった。すぐに特別養護老人ホームをつかさどる厚生労働省にあたる東京都では「福祉保健局」と、住宅政策をつかさどる国土交通省にあたる東京都では「都市整備局」、この二つの局の壁を破って横串を刺したプロジェクトチームをつくった。

 ここでつくりあげた東京モデルが着実に都内各地でふえつつある。現地を確認に視察してきた。以下は、前半が医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅(中堅所得者層向け)と、都市型軽費老人ホーム(低所得者層向け)を備えた「綾瀬コミュニティーパーク」(足立区)。

 後半は港区虎ノ門の「シルバー交番事業」〔ふれあい相談室〕。

 それぞれぶらさがり会見速記録。

○「綾瀬コミュニティーパーク」(足立区)

(記者) 視察していかがでしたか。

(猪瀬) 今まで、住宅か施設かの選択だった。特養の待機者が4万人いる中、新しいスタイル、「ケア付きすまい」という東京モデルを提案したのが、「すまいPT」である。

 こうした施設が今までなかったのは、行政が縦割りだったから。施設か在宅かの二者択一しかない。自宅で暮らしたいが、子どもは独立していると独り暮らしとなり、いざというときの不安がある。一方で特別養護老人ホームに入居しようとすると数が足りない。しかし、ほんとうのニーズが真ん中にあると気づいて、東京モデルを作った。

 この東京モデルにより、特養の待機者は4万人いるが、この新しい施設で3万人は吸収できるのではないかと考えている。自宅のそばで、買い物にも行けるし、ちょっと心配なら診療所もある、こういう多様な選択肢が用意されている理想的なすまい、さきほどの高齢者の言葉で言えば「高齢者の天国」をつくることが、老後の暮らしを明るくしてくれる。

(記者) 目標を達成することは難しいのではないか。

(猪瀬) ケア付きすまいは2年で目標825戸のところ、882戸の実績でこれからもっと増える。今のところ順調に進んでいる。低所得者向けのケア付きすまいである「都市型軽費老人ホーム」は3ヵ年2400床の目標で、今のところ実績300床であるが、まだまだ知られていないことが原因のひとつ。安定した家賃収入が得られる。メディアでもっととりあげてもらえれば、市場も増える。

(記者) PTの横串の成果は何か。

(猪瀬) プロジェクトチームをつくったのは、「たまゆら」の火災が起きたから。東京の外に500人くらい生活保護を受けて生活している人がいる。行政の縦割ではなく、ほんとうにニーズは在宅と施設の中間にあるという、第三の選択を選べたこと。国に規制緩和を求め、都は補助をすることで、民間の力を引き出す税の投資を行った。

(記者) そもそも住宅そのものがないのではないか、既存の住宅ストックの活用はしないのか。

(猪瀬) 既存ストックでも、共同スペースをつくって改造する場合、補助を行っている。

(記者) 大手企業への売込みはしないのか

(猪瀬) 一部はやっているのではないか。小さいところからはじめ、今回のような良い例を見せることで、大手も気がつくでしょう。PTをやっていた当初、業界紙は何十社と取材に来て取り上げてくれた。そこに大きなマーケットがあることを知っているからだ。一般紙は小さい紙面しか掲載されなかった。

(記者) 今後の予定は?

(猪瀬) 成果を見て増やしたい。認可保育所から認証保育所と同じで、規制緩和を行って、特養の待機者を減らす。

***   ***   ***   ***   ***

○港区虎ノ門のシルバー交番事業「ふれあい相談室」

(記者) 実際「シルバー交番」をご覧になっていかがですか。

(猪瀬) この施設の正式名称は ? 

(職員) 「ふれあい相談室」です。それぞれね、実際の名前はふれあい相談室とか、自由につけているんですが、基本的には東京都の事業としてはシルバー交番事業です。こういうかたちで区市に普及させていこうということで、今年度中には30箇所、2年くらいかかっていますので、やっといろいろ各区とか市にご理解いただいてきた。東京都が半分補助しています。

 警視庁から、交番という名前を勝手に使うなと言われ、「シルバー交番事業」と「事業」にしたら文句なかった。

(記者) 民生・児童委員さんの話があったんですけど、民生委員の地域の見守り機能が低下するなかで、こういう専門家の方が、今回は高齢者対象ですが、精神疾患なんかでも含めてアウトリーチの重要性とかが言われている。いろんな精神疾患とかがお歳を限らずですね、そういう様々な人に対するアウトリート型のサービスっていうのをより充実させていく、これは医療費の低減、早期発見とかの役に立つと思うんですが。

(猪瀬) 基本的には、アウトリーチなんだよね。だから、認知症と精神疾患の区別が付かないような場合もある。先ほど言ったように、民生児童委員とか今までの地域の見守りというのは、それはそれでよくやっているんですけど、だんだんやっぱり無縁社会と言われるような話になってくると民生委員の方々だけでは見切れない。

 新聞の配達の人とか牛乳配達の人とかヤクルトおばさんとかいろんな人が、それぞれやっているんですね。給食を配っているNPOもあるしね。やっぱりきちんとした役所の中にシルバー交番をつくって、そういうものをある程度補って要になるような形に作り変えていく必要があるんじゃないかと思っています。

 ここのシルバー交番もいまスタッフが二人ですけど、もうちょっと充実させていく方向があっていいかと思います。お二人で700軒回るわけですから、もっと増やすようなかたちを考えたい。

(記者) 今日の視察の結果は今後の施策にどのように活かしていきたいと?

(猪瀬) メディアが、いままでの実績をなかなか書かない。資料はいくらでもあるのに。そういうことで、じつは2年間に始めたときも業界紙しか取り上げなかった。説明難しいからな。

 いま、急にテレビで政治家が出てきてね、「医療と介護の一体化」とか付け刃みたいなことを言っているの。そんなの全然だめよ。さっきの足立の施設にクリニックがあったでしょう。あのクリニックは、マンションの居住者と外にいる町の人たちと両方見ている。訪問介護を1軒1軒回るのと同時にこのマンションの1階にあるから、マンションの中の高齢者を見ると。

 このシルバー交番のある港区の建物も、フロアでデイケアセンターがあり、さらに下のフロアでリハビリステーションのようなものがあり、そして、いまたまたまシルバー交番もこの建物にある。それで高齢者がいっぱいいる。そのようにほんとうは一つのビルに一個づつそういうのができてくるかたちになれば理想的でしょう。

詳しくはここから





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