凄そう、読み込みます
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アップルなど先進企業のデータ活用に学ぶ
日経ビジネスよ
詳しくはここから
グローバル・ハイパフォーマンス企業と日本企業とは何が異なるのか? データ活用に焦点を当てて5回に渡って掘り下げていきたい。
第1回と第2回は、グローバル・ハイパフォーマンス企業と日本企業とで、経営意思決定に利用している情報が異なることを具体的な事例を交えて解説する。第3回は「日本企業はなぜ海外子会社をマネージできないか?」というよく問われる課題に関して説明する。第4回と第5回は、商品に対するユーザーの関心が「ユーザー体験」に変化したことを説明し、商品開発における情報活用のあり方やクラウドとソーシャルメディアの活用方法を説明したい。
まず、比較のため、我々のコンサルティング経験から、グローバル規模で成功しているグローバル・ハイパフォーマンス企業――米アップル 、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ネスレ、米ユニリーバ、韓サムスン、韓LGなど――と、一般的な日本企業との違いを確認したい。これらの企業と日本企業の経営の違いを一言で言い表わすと、決定的に違うのは「情報」に対する考え方である。
どの企業も、当然ながら情報に基づいて経営を行っているだろう。しかしその「情報」がグローバル・ハイパフォーマンス企業と日本企業では異なるのである。
収集、加工、伝達すべてで異なる
そもそも「情報」とは何か。経営活動において「情報」は「収集したデータを」「ある一定の意味合いを持つものに加工し」「それを伝達したもの」と表現できる。
つまり、情報をつくる過程は以下の3つに分解ができる。
(1)データの収集 データソースは何か?
(2)データの伝達 データをどのように伝達するか?
(3)データの加工 データをどのように加工(分析)するか?
この3つの過程を経てはじめて「データ」は意味のある「情報」へと変化する。実は、グローバル・ハイパフォーマンス企業と日本企業とは(1)~(3)すべてで異なる。
アップルは販売の最前線のデータを収集する
時価総額世界一となったアップルの例で説明しよう。故スティーブ・ジョブズ氏によってアップルが非常に独創的な商品を生み出してきたことは有名だ。だが、実はそのグローバルのオペレーションも卓越したものである。
まずデータの収集について。アップルが自社製品の販売情報を収集する際、そのデータソースは、セルスルー(sell Through)である。販売会社の販売数ではなく、直営店や量販店などがお客様に販売するデータに注目して収集する。お客様に最も近い場所でのデータを重視するわけだ。
一方、一般的な日本のメーカーは、販売の最前線での売れ行きより、各国の販売会社の販売数にこだわる。理由は、1)販売会社が事業計画数値を達成できたかに経営者がこだわっているから、また2)そもそも量販店の情報を取るプロセス持っていないから、である。
本社が一括で需給調整
データの伝達経路について。アップルは、セルスルーデータを量販店などから本社が直接収集し、そのファクトに基づいて本社が一括して経営判断する。そのデータは、世界中から本社に週次で集められる。すべての国別、製品別のスプレッドシートを責任者が見て各国への製品の配分を決めると同時に、調達数を決定する。この「情報」の扱い方と意思決定プロセスは、非常に素晴らしいSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を実現している。
AppleTVの不振を認めることができた理由
一方、日本メーカーは、各販売会社が、自分の意思で工場に対して調達を指示する。すなわち、アップルは需給調整(PSIコントロール;Procurement、Sales Forecast、Inventory)を一発で決めるのに対して、日本メーカーは販売会社単位で需給調整を行うわけである。もしアップルが日本メーカーのようなオペレーションをしたら、iPhoneのような売れる製品において、販売会社間で在庫の取り合いが始まることだろう。
「日本にもVMI(Vendor-Managed inventory)を実現している進んだ企業がある」との反論があるかもしれない。VMIとは、基準在庫量を決めてそこにプッシュ型で商品を提供する仕組みだ。これは、供給が不足気味な商品の場合、やはり機能しない。VMIが機能しないことは、今回の東日本大震災が証明した。東北地方の原材料メーカーが被災したために、被災していない工場まで生産がストップし、慢性的な供給不足を招いた。
グローバル・ハイパフォーマンス企業は、みなアップルと同じように、お客様にいちばん近いところの販売情報にこだわってオペレーションをしている。ところが日本企業は、販売会社の販売数字にこだわって経営をしている。見ている情報が全く違うのである。
AppleTVの不振を認めることができた理由
アップルの例を異なる角度から分析したい。アップルには、Apple TVという製品がある。ここで、Apple TVに関して簡単に説明しておきたい。Apple TVは、録画機でもゲーム機でもない。パソコンに入っているインターネットのコンテンツ(写真、動画、音楽)と映画、一部のスポーツ番組をテレビの大画面を使って楽しむことができるようにする機器である。また、手元にあるiPhoneやiPadのコンテンツをリビングルームのテレビで再生することもできる。皆さんは高解像度のカメラで、写真をたくさん撮っていると思う。それをどんな機器で見ているだろうか? テレビで見ると、かなり迫力があり、家族で楽しめる。また映画コンテンツも数百円ですぐにレンタルでき、リビングルームを映画館にできる。かなり「優れもの」な機器である。
2007年3月に初代機を発売。現在販売しているのは第2世代型だ。第1世代は、Youtubeなどにも対応したが、実は、あまりヒットしなかった。テレビにおける放送と通信の融合においては、あのスティーブ・ジョブズ氏でも最初から大成功をしたわけではない。ジョブズ氏自身が自身のプレゼンテーションにおいてそれを認めていた。
成功していないことを認めることができたのも、アップルがお客様に近いセルスルーデータを本社に集めて週次で経営判断する経営プロセスが機能していたからだ。お客様にいちばん近い情報を直接得ることの大切さはここにある。期待通りの販売実績が上がっていない事実を即座に認識できるのだ。この事実を映し出すデータこそが、次に善後策を打つこと、もしくは勇気を持った撤退を経営判断することにつながる。
一方で、日本メーカーでは、次のような話をよく聞く。本社の商品開発部が革新的な製品を開発した。この製品は、革新的であるがゆえに製品の特徴をユーザーに伝える必要がある。販売会社は、その製品の販売方法に悩みながら市場投入したがあまり売れない。
この時、販売会社は「この製品のスペックと販売価格に問題がある」と言う。一方、商品開発部は「販売方法に問題があるのでは」と反論する。双方は互いの事業計画を達成するため譲らない。議論している間に在庫が積み上がってしまう。結局、量販店への販売奨励金を積み増して販売し、その結果、収支を悪化させてしまう。
日本企業が経営の意思決定スピードを速めるためには情報の活用がキーであるとよく言われる。だが問題は、その情報を構成するデータの取得先、伝達方法である。次回は、さらに深堀りして解説していきたい。
一方、日本メーカーは、各販売会社が、自分の意思で工場に対して調達を指示する。すなわち、アップルは需給調整(PSIコントロール;Procurement、Sales Forecast、Inventory)を一発で決めるのに対して、日本メーカーは販売会社単位で需給調整を行うわけである。もしアップルが日本メーカーのようなオペレーションをしたら、iPhoneのような売れる製品において、販売会社間で在庫の取り合いが始まることだろう。
「日本にもVMI(Vendor-Managed inventory)を実現している進んだ企業がある」との反論があるかもしれない。VMIとは、基準在庫量を決めてそこにプッシュ型で商品を提供する仕組みだ。これは、供給が不足気味な商品の場合、やはり機能しない。VMIが機能しないことは、今回の東日本大震災が証明した。東北地方の原材料メーカーが被災したために、被災していない工場まで生産がストップし、慢性的な供給不足を招いた。
グローバル・ハイパフォーマンス企業は、みなアップルと同じように、お客様にいちばん近いところの販売情報にこだわってオペレーションをしている。ところが日本企業は、販売会社の販売数字にこだわって経営をしている。見ている情報が全く違うのである。
AppleTVの不振を認めることができた理由
アップルの例を異なる角度から分析したい。アップルには、Apple TVという製品がある。ここで、Apple TVに関して簡単に説明しておきたい。Apple TVは、録画機でもゲーム機でもない。パソコンに入っているインターネットのコンテンツ(写真、動画、音楽)と映画、一部のスポーツ番組をテレビの大画面を使って楽しむことができるようにする機器である。また、手元にあるiPhoneやiPadのコンテンツをリビングルームのテレビで再生することもできる。皆さんは高解像度のカメラで、写真をたくさん撮っていると思う。それをどんな機器で見ているだろうか? テレビで見ると、かなり迫力があり、家族で楽しめる。また映画コンテンツも数百円ですぐにレンタルでき、リビングルームを映画館にできる。かなり「優れもの」な機器である。
2007年3月に初代機を発売。現在販売しているのは第2世代型だ。第1世代は、Youtubeなどにも対応したが、実は、あまりヒットしなかった。テレビにおける放送と通信の融合においては、あのスティーブ・ジョブズ氏でも最初から大成功をしたわけではない。ジョブズ氏自身が自身のプレゼンテーションにおいてそれを認めていた。
成功していないことを認めることができたのも、アップルがお客様に近いセルスルーデータを本社に集めて週次で経営判断する経営プロセスが機能していたからだ。お客様にいちばん近い情報を直接得ることの大切さはここにある。期待通りの販売実績が上がっていない事実を即座に認識できるのだ。この事実を映し出すデータこそが、次に善後策を打つこと、もしくは勇気を持った撤退を経営判断することにつながる。
一方で、日本メーカーでは、次のような話をよく聞く。本社の商品開発部が革新的な製品を開発した。この製品は、革新的であるがゆえに製品の特徴をユーザーに伝える必要がある。販売会社は、その製品の販売方法に悩みながら市場投入したがあまり売れない。
この時、販売会社は「この製品のスペックと販売価格に問題がある」と言う。一方、商品開発部は「販売方法に問題があるのでは」と反論する。双方は互いの事業計画を達成するため譲らない。議論している間に在庫が積み上がってしまう。結局、量販店への販売奨励金を積み増して販売し、その結果、収支を悪化させてしまう。
日本企業が経営の意思決定スピードを速めるためには情報の活用がキーであるとよく言われる。だが問題は、その情報を構成するデータの取得先、伝達方法である。次回は、さらに深堀りして解説していきたい。
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うーん。アップルなど先進企業のデータ活用に学ぶ
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