厚生年金 高所得者、保険料上げ 報酬月額上限、121万円検討
産経新聞より
厚生労働省は、厚生年金の保険料算定基準となる標準報酬月額の上限(62万円)を見直し、高額所得者の保険料を引き上げる検討に入った。健康保険の上限と同じ121万円に引き上げる案が軸。保険料収入を増やすことで年金財政を安定化させる狙いがあるが、負担増となる人や、保険料を半額負担する企業側の理解を得られるかは不透明だ。
厚労省は社会保障審議会年金部会で検討を進め、成案が得られれば関連法案を来年の通常国会に提出したい考え。現在検討しているパートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大が実現すれば、9万8千円の下限も引き下げる。
厚生年金は会社員の月収を30段階の標準報酬月額に当てはめ、それに保険料率(現在は16・41%)を掛ける形で月々の保険料を決めている。保険料は労使折半で負担しており、標準報酬月額はほぼ給与月額に相当する。
標準報酬が上がるほど保険料も上がるが、標準報酬上限の62万円(保険料は月額約10万2千円)で頭打ちとなる。このため、月収が62万円を超える人も保険料は約10万2千円にとどまっており、上限を引き上げることで、負担能力のある高額所得者により多くの保険料を納付してもらう狙いがある。121万円に上限を引き上げた場合、保険料は月額約19万9千円となる。
また、将来受け取る年金額も、払った保険料に見合って上昇するため、高額所得者への支給額が膨らみすぎないよう、現在の上限である62万円を超えた分を半額で計算する案や、年収1千万円以上の人の基礎年金(約6万6千円)を最大2分の1削減することなどが検討されている。
平成20年の厚労省の試算によると、標準報酬上限の62万円に該当する加入者は約235万人(6・8%)。40年間、標準報酬が上限だった場合に専業主婦の妻と合わせて受け取れる年金は月額30万5千円だった。
上限を121万円に引き上げた場合、受け取る年金額をそのまま計算すると月額47万円となるが、62万円超を半分に計算すれば月額39万5千円まで抑制できる。
ただ、121万円の上限に該当する人では、62万円が上限だった場合に比べ、年間で保険料負担が約115万円増額されることになり、上限額をより低く抑える案なども検討する。
【用語解説】標準報酬月額
健康保険、厚生年金加入者の毎月の報酬額を区切りのよい幅で区分したもので、年3回以下の賞与や見舞金は除外される。厚生年金では9万8千円から62万円までの30等級に区分され、これに一定割合を掛けることで月々の保険料や将来の年金額が算定される。健康保険は121万円まで47等級に分かれており、年金でも健康保険並みに上限を引き上げるべきだとの議論がある。
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