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大前研一「フェイスブック、アマゾン~好調企業の要因と今後」

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「フェイスブック、アマゾン~好調企業の要因と今後」

大前研一ニュースの視点、いつもながらのグローバルな切り口いいですね。


 ――――――――――――――――
  フェイスブック 広告料が前年比7割高
  米アマゾン・ドットコム 売上高約7720億円 前年同期比51%増
 ―――――――――――――――――
 ▼グーグルはフェイスブックに対抗できるようになるか?
 

 ソーシャルメディア専門の独立系マーケティング会社TBGデジタルによると、フェイスブック掲載広告の「コスト・パー・クリック」
 (クリック1回当たりの広告費用)は
 2011年第2四半期に、米、英、仏、独の主な4つのメディア市場で前年同期比74%上昇しました。

 これについてTBGは「(フェイスブックの急成長は)デジタル広告での
 自らの経験からしてもグーグル以来のものだ」と語っています。

 確かにフェイスブックを見ている人数からすれば、従量課金で相当高くなるはずだと推測できますが、それにしてもフェイスブック掲載広告費用の上昇を見ると「やや高すぎるのでは」と感じます。

 この傾向はかつてのグーグルにも見られたもので、当時グーグルも広告費の上昇でかなりの収益を上げていました。


 グーグル対フェイスブックという構図で見ると、グーグルは新たに「Google+(グーグルプラス)」という
 ソーシャルメディアサービスを始めました。

 「Circle Logic」という概念を用いたサービスのようで、2011年7月25日号のBloombergBusinessweek誌では
 「Google+’s Circle Logic
 (グーグル プラスのサークルはフェイスブックに勝てるか?)」
 という特集が組まれていました。

 7億人近いユーザーを抱えるフェイスブックに対して、「Google+(グーグルプラス)」は、わずか1000万人規模でしかありません。
 しかし意外と評判が良く、しかもシリコンバレーで活躍しているIT業界のトッププレーヤーが強く推薦して、
 一気に会員数1000万人まで達したという状況を見ると、将来の期待度は必然的に高くなります。

 グーグルといえども、他社のサービスを模倣してリリースしたようなものは、必ずしも全てが成功したとは言えませんが、
 この「Google+(グーグルプラス)」の評判の良さからすると、今後フェイスブックに対しても善戦するのではないかと私は見ています。


 ▼アマゾンの小売業への転化は、大きなインパクトを持つ

 米アマゾン・ドット・コムが26日に発表した4~6月期決算は、売上高が前年同期比51%増の99億1300万ドル(約7720億円)だったことが分かりました。

 世界各地で家電などの販売が伸び、売上高は4~6月期としては過去最高となりましたが、物流拠点の拡張などでコストがかさみ、純利益は減少しています。


 このニュースを聞いて、「アマゾンは本屋じゃなかったの?」と感じた人もいると思います。

 「アマゾン=オンラインの本屋」というのが誰しも抱いているイメージだと思いますが、実はアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は、アマゾン創業当時から「世界一の小売を目指したい」と発言していました。


 私は今から14~15年前、電子商取引が成立するためには3本の柱が必要で、
 三位一体となって初めてポータルを制することができると、様々なメディアで発信していました。

 それは、「プラットフォーム化」「決済機能」「物流機能」という3つです。

 アマゾンはかなり遠回りをしましたが、ここに来て3つ全てを網羅して、完全に体制を整えたと言えるでしょう。

 帳合を管理し物流までおさえることで、消費者が買いたいものが本でなくても、CD、ソファー、冷蔵庫でも何でも問題なく対応できるようになりました。

 さらには、一定金額以上の決済金額であれば送料無料などのサービスまでで展開可能になったのです。

 アマゾンのセグメント別売上高の推移を見ると、書籍が頭打ちの様相を見せている一方で、家電などが大きく伸びています。

 書籍が頭打ちと言っても、書籍はキンドルという電子書籍に移行しつつありますから全く問題ないでしょう。


 むしろ家電分野での伸びが今後も非常に重要になると思います。
 「アマゾン=本屋」ではなく、電子スペースにおける「小売店という顔」が強くなり、今後さらに量的にも収益的にも家電などの占める割合は大きくなっていくと思います。


 興味深いのは、小売の世界チャンピオンであるウォールマートがサイバーの世界では成功しておらず苦労しているということです。

 15年以上も四苦八苦していて、未だに売上の1%程度にしか達していません。

 「なぜウォールマートが上手くいかないのか?」実は私もこの業界の経験があるので分かることがあります。

 私は九州地方でネットスーパー事業を展開するエブリデイ・ドット・コムを経営していました。

 最終的には年商160億円規模まで拡大させ、阪急・阪神両百貨店の持株会社エイチ・ツー・オーリテイリングに売却しました。

 日本の小売業トップのイトーヨーカドーやイオンも、ウォールマート同様、サイバー分野では苦労していました。
 彼らの収益が上がらずボリュームも増えない状況を目の当たりにしてきました。

 私はこの原因が「生い立ち」にあるのではないかと考えています。
 どうしてもリアルに店舗がある小売業では「届ける」という行為は「サービスの一部」という認識をしてしまいます。

 これは百貨店なども同じです。
 この考えが前提にあると、サイバー空間での常識に馴染みにくい気がします。

 こうしたことは別の業界でも当てはまります。
 私はオールサイバーの大学・大学院としてBBTを経営していますが、
 リアルの学校がこの分野に手を出してもなかなか上手くいきません。
 無料で閲覧できるようなオンライン講座をたくさん持っているMITでさえ、
 オールサイバーまで発展できていません。

 これも「生い立ち」に依るところが大きいと感じます。

 ウォールマートなどのこれまでの大手企業が苦戦する中、アマゾンの小売業への転化は強烈なインパクトがあると思います。


大前研一ニュースの視点はここから





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