中国リポート/広島・尾道市、遊休地活用したメガソーラー建設続々
7月1日にスタートする再生可能エネルギーの全量買い取り制度が追い風となり、広島県尾道市周辺の遊休地で、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設計画が相次いでいる。日照時間が長く、安価で広大な土地がある瀬戸内海地域にとって、メガソーラーの開設は自然エネルギー普及貢献だけでなく、税収増にもなる。またとない遊休地の活用に注目が集まる。(福山支局長・丸山美和)
「本来は、雇用を生む工場進出などが望ましいが、昨今の経済状況では難しい。今はメガソーラー建設に期待する」(島谷豊幸尾道市市民生活部環境政策課課長)―。
尾道市では環境政策課が中心となって、尾道市内を調査。メガソーラーに適している土地が市内に9カ所程度あることを確認した。その後、商工会議所や商工会と連携して、3月末にメガソーラー説明会を実施。参加した50数社の中から、発電事業者になることを希望し企画書を提出した10社に、土地や所有者の情報を提供した。
尾道市沖の離島・百島の塩田跡地。ここに1500キロワットのメガソーラーが建設される
現在、尾道市内では4カ所でメガソーラーの建設計画が進んでいる。そのうちの一つ、百島では約3万平方メートルの塩田跡地に、発電能力が1500キロワットのメガソーラーを開設する。
総工費は6億円で鋼鈑の加工専門会社のコイルセンターフジタ(東京都墨田区)がSPC(特別目的会社)を設立し、運営にあたる。2013年4月の完成後はスマートメーターを設置して、電気自動車活用による「スマートアイランド」を整備する計画だ。
同じ尾道市の瀬戸田町(生口島)では2カ所で、NTTファシリティーズが発電能力2000キロワットのメガソーラーを建設。13年1月に稼働する。
同市には、「これらのほかに、5カ所程度のメガソーラー候補地がある」(島谷氏)という。そのほとんどは塩田跡地の遊休地。塩田の特長通り、日照時間は長く、土地も広い。ソフトバンクがメガソーラーを計画する休耕田や耕作放棄地だと農地転用許可が必要だが、塩田は地目が雑種地の扱いなので「すぐに使える」利点もある。
さらに遊休地にメガソーラーが建設されるとなると、ソーラー設備は20年の減価償却のため、自治体には20年間、固定資産税が納税される。雑種地よりも率が高い宅地並みの課税に切り替わる上、市有地なら賃料も入る。工事期間中は地元の施工業者活用も見込め、短期間だが地域経済活性化にも寄与する。
折しも18日には経済産業省・資源エネルギー庁が、7月の「固定価格買い取り制度」開始に伴い、来年3月末までの電気料金上乗せ価格を一キロワット当たり0・22円と決めた。中国電力管内は標準家庭で月額99円の負担増となる。電力会社による再生エネ事業者からの買い取り分を、コストとして電気代へ転嫁することに批判の声もある。だが、遊休地がうまく活用され、再生エネ活用による地域整備が進むメリットの方が大きいと、地元では歓迎の声が多い。
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